部屋を片づけたいのに、どこから手をつければいいかわからない
いざ始めても、目の前のモノを見ているうちに迷いが増え、気づけば手が止まってしまう。
そんな経験はないだろうか。
NHKの生活情報番組『あさイチ』にも登場した片づけのプロ・二見文直さんは、これまで1万軒以上の片づけ現場を見てきた。その中で見えてきたのは、「捨てられない人」に共通する意外なつまずき方だ。
では、片づけが苦手な人は、最初に何をすればいいのか。
登録者数19.6万人の人気YouTube「イーブイ片付けチャンネル」運営者であり、書籍『1万軒以上片づけたプロが伝えたい 捨てるコツ』の著者・二見文直さんに、「脳が疲れない片づけ方」について聞いた。
(構成/和田史子)

書籍『1万軒以上片づけたプロが伝えたい 捨てるコツ』写真の部屋を片づける場合、テーブルの前に立って、テーブル上(赤丸部分)だけをひたすら片づけていく。そこから一歩も動かず、いらないモノをどんどんゴミ袋に入れて捨てていくのがコツ(イーブイ片付けチャンネル提供)

片づけを始めたら、まず「動かない」

株式会社ウインドクリエイティブ代表取締役。YouTubeチャンネル「イーブイ片付けチャンネル」運営者。1984年大阪府生まれ。一般社団法人遺品整理士認定協会認定遺品整理士。生前整理技能Pro1級。月平均130軒以上のお宅を訪問し、これまで1万軒以上の片づけを経験。年間約5000件以上の相談を受け、のべ4万件を超える全国からの「片づけられない」悩みと向き合ってきた。
2016年にスタートしたYouTubeチャンネル「イーブイ片付けチャンネル」は、登録者数19.6万人を突破(2026年5月現在)。片づけに悩む人々に寄り添う姿が共感を呼び、多くの視聴者から支持されている。二見文直(ふたみ・ふみなお)
株式会社ウインドクリエイティブ代表取締役。YouTubeチャンネル「イーブイ片付けチャンネル」運営者。一般社団法人遺品整理士認定協会認定遺品整理士。生前整理技能Pro1級。月平均130軒以上のお宅を訪問し、これまで1万軒以上の片づけを経験。年間約5000件以上の相談を受け、のべ4万件を超える全国からの「片づけられない」悩みと向き合ってきた。2016年にスタートしたYouTube「イーブイ片付けチャンネル」は、登録者数19.6万人を突破(2026年5月現在)。『1万軒以上片づけたプロが伝えたい 捨てるコツ』(ダイヤモンド社)は初の著書(2026年5月現在7刷)。

片づけが進まない人は、作業の途中で別のことを始めてしまいがちです。

たとえば、床にあったモノを手に取ったとします。
「これは棚に戻そう」と思って移動した瞬間、頭の中の目的は「捨てる」から「しまう」に切り替わります

すると、棚の中が気になり、別のモノを出し、また別の場所へ移動する。こうして、本来やるはずだった作業からどんどん離れていきます。

私が最初にすすめるのは、片づけを始めた場所から動かないことです。

まずは、その場で捨てるモノだけを袋に入れていきます。
収納場所を考えたり、細かく分類したりするのは後回しです。最初からいくつもの判断を同時にしようとすると、脳が疲れてしまいます。

片づけが苦手な人に必要なのは、作業をできるだけ単純にすること。

1.捨てるモノを見つける
2.ゴミ袋に入れる

最初はそれだけで十分です。

集中が続きにくい人は、時間を短く区切るのも有効です。
最初から半日かけて片づけようとせず、15分だけやってみる。短時間なら負担が少なく、「少し進んだ」という感覚も得やすくなります。

イーブイ片付けチャンネル提供写真「片づけのプロは動かず作業に集中」片づけのプロは、この場所を片づけると決めたら動かず作業に集中している(イーブイ片付けチャンネル提供)

いきなり「仕分け」しようとすると失敗する

片づけというと、多くの人はまず仕分けを思い浮かべます。
必要なモノ、不要なモノ、保留するモノ。あるいは、服、本、書類、文房具といった分類です。

しかし、モノが多い家で最初に仕分けを始めると、かえって片づけが難しくなります
仕分けには、広げる場所が必要だからです。

床やテーブルに余白がない状態でモノを出してしまうと、分類する前に部屋がさらに散らかって見えます。本人は片づけているつもりでも、目の前の景色は悪化する。その時点で気力が落ち、途中でやめたくなります。

だから、最初に目指すべきなのは「きれいに分けること」ではありません。
まずは、部屋の外に出せるモノを減らし、作業できる余白をつくることです。

整理も収納も仕分けも、その余白ができてから考えれば間に合います。
最初の段階では、片づけを複雑にしないことが大切です。

最初は「思い入れの少ない場所」から始める

捨てる練習をするなら、場所選びも重要です。

いきなりリビングや自室から始めると、判断が難しくなります。毎日使う場所には生活に関わるモノが多く、「これは本当に捨てていいのか」と迷いやすいからです。

クローゼットや趣味の棚も、最初に手をつける場所としては難易度が高めです。
服やコレクションには好みや思い出が強く結びついています。「高かった」「いつか着るかもしれない」「これは大事だった気がする」と考え始めると、なかなか判断できません。

私がおすすめしているのは、パントリー、玄関、洗面所です。

食品なら賞味期限、靴ならサイズや傷み具合、洗剤や試供品なら使っているかどうかで判断できます。感情よりも状態や期限で見やすいため、捨てる練習に向いています

最初から難しい場所に挑む必要はありません。判断しやすい場所で小さく成功することが、次の片づけにつながります。「ここは少しスッキリした」という実感があると、片づけへの抵抗感は下がっていきます。

「残すもの」ではなく「手放すもの」を見る

片づけで手が止まる人は、「何を残すか」から考えがちです。
ところが、残す理由を探し始めると、ほとんどのモノに言い訳が見つかります。

「まだ使える」「高かったし」「もらいものだから」「いつか必要になるかもしれない」

そう考えているうちに、結局あまり減りません。

視点を変えて、「どれを手放せるか」から見ていくほうが判断しやすくなります。

たとえば、最後に使った時期を思い出せないモノ。存在を忘れていたモノ。使うたびに面倒だと感じるモノ。洗いにくい、出し入れしにくい、使い心地が悪いモノ。こうしたモノは、今の暮らしに合っていない可能性があります。

高価だったかどうかより、今の自分が使っているか
まだ使えそうかどうかより、使うたびに負担を感じていないか。その基準で見ると、手放す候補は見つけやすくなります。

片づけは、気合いで一気に終わらせる作業ではありません。脳が迷いにくい順番で進めることが大切です。

最初は動かない。仕分けから始めない。思い入れの少ない場所を選ぶ。そして、「残す理由」ではなく「手放せる理由」を探す。

これらを守るだけで、片づけのハードルは大きく下がります。
捨てられない人に必要なのは、強い意志ではなく、迷わず進めるための入り口なのです。