*内閣府「中長期の経済財政に関する試算」(2017年1月版)等を基に筆者作成*内閣府「中長期の経済財政に関する試算」(2017年1月版)等を基に筆者作成

当初予算と第3次補正予算後における
2020年度の財政赤字の変化

 予測や試算は、一定の前提に基づいて推計を行うものであり、推計と実績が乖離する可能性があるのは当然である。だが、英国やオーストラリア等では、GDP成長率の予測が実績と乖離した場合にはその要因分析を行い、モデルや推計方法に関する有識者の意見も取り込みながら、次回以降では乖離を縮小させるための仕組みが存在する。

 日本は残念ながら、予測と実績の乖離に関する要因分析や事後検証をしておらず、情報公開もない。

 例えば、日本で政府が示す試算のうち重要なものの一つは、中長期的な財政の姿を把握するため、内閣府が定期的に公表する「中長期の経済財政に関する試算」(以下「中長期試算」)だろう。