中国版ファンタオレンジが急成長
酒を飲めない人の定番「北冰洋」とは

中国を代表する飲み物「北冰洋」。なぜ人気が復活したのか(筆者撮影)

「北冰洋」と聞いて、ピンと来ない読者も多いかと思う。それはオレンジ味の「中国式ファンタ」ともいうべきジュースだ。筆者が酒を飲めない中国人の友人と食事をするとき、彼らはコーラやスプライトを注文することが多かった。だが最近は「北冰洋」を注文する人もいる。

 筆者はジュースよりも酒をひいきにすることが多いので、中国産のジュースについては詳しくなかった。「80後」の中国人の友人によると、「北冰洋」は北京で有名なブランドで、小さい頃、よく飲んだそうだ。筆者も飲んだことがある。

 北京に滞在したことのある読者はよくご存じかもしれないが、中国には「老字号」といわれる伝統あるブランドがある。これは政府機関によって認定された老舗企業の称号で、北京の例で言えば、お酒は「紅星」、パンは「義利」、ジュースは「北冰洋」、中国菓子は「稲香村」といったものがある。

 中国政府も「老字号」の重要性を認識しており、全人代の「政府活動報告」にも「老字号」を重視することが盛り込まれている。

 ここで挙げたものは最もポピュラーなものだが、中国の人々、特に年配の人はブランドを気にする。北京の人と一緒に酒を飲むとき、「紅星」が出てくることが多い。また、朝食に「義利」のパンを食べる人もいる。「北冰洋」は夏の定番料理「涼皮」を食べるときなどに飲むことが定番になっている。

 北京の人たちに馴染みの深い「北冰洋」。一時期はあまり見かけなかったが、「復活」を遂げてスーパーでも普通に売っている。コカコーラやペプシコーラのシェアがまだ中国市場で幅を利かせているが、「北冰洋」は中国を代表する飲み物の1つとして存在感を徐々に増している。なぜ「北冰洋」は復活を遂げたのだろうか。

「北冰洋」は60年以上の伝統がある。中国の炭酸飲料産業は歴史が古く、1920年につくられた瀋陽八王子汽水(ソーダ)、1927年に成立した上海正広和、1928年に成立した華洋汽水廠が中国で最も早い炭酸飲料メーカーだ。