電通
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2020年12月期は1595億円と過去最大の最終赤字に沈んだ日本の広告業界の巨人・電通グループ。世界「BIG5」に肩を並べようともくろんだ海外企業の買収が主要因だが、電通を蝕むのはそれだけではない。収益拡大の絶好の機会である東京オリンピック・パラリンピックの開催も危うく、一発逆転の可能性は風前の灯火だ。山本敏博CEOを知る作家で元長野県知事の田中康夫氏が、“最後の諫言”を緊急寄稿した。

最終損失の主要因は海外子会社の減損
CFOの決意に相槌を打っている場合ではない

 純粋持株会社「電通グループ」は2020年12月期の連結決算(国際会計基準)を2021年2月15日に発表。以下の“言い訳”は、「経営成績及び財政状態」と大書きされた「決算短信」の1行目に記されています。

「2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界的に景気が急速に悪化しました。特に2020年3月以降は、当社グループの国内外の事業にも影響を及ぼし始めました」(https://ssl4.eir-parts.net/doc/4324/tdnet/1935567/00.pdf

 同日22:00配信「日本経済新聞」記事の冒頭も再録しておきます。(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGD156FE0V10C21A2000000/

「電通グループが15日発表した2020年12月期の連結決算(国際会計基準)は、最終損益が1595億円の赤字(前の期は808億円の赤字)と過去最大だった。新型コロナウイルス禍によって世界の広告市況が悪化、海外事業を中心にのれんなどの減損損失1400億円強を計上した。

 M&A(合併・買収)を軸に海外事業を広げてきたが、買収後の成長が遅れコロナ禍が追い打ちをかけた。売上高にあたる収益は前の期比10%減の9392億円、営業損益は1406億円の赤字(前の期は33億円の赤字)だった。最終赤字、営業赤字とも2期連続となる。

 減損損失は子会社や地域ごとの判断ではなく海外全ての地域をまとめて収益性を見直して1403億円を計上、国内でも数十億円が発生した。20年9月末時点で約7300億円あった貸借対照表上の、のれんは今回の減損で約5900億円に減った」

 翌16日付け朝刊13版にも、一字一句違わぬ同じ文面の記事が掲載されています。1面右肩で報じた「日経平均3万円回復 金融政策で押し上げ 企業収益 改善道半ば」よりも“ニュース性”が稀薄だったのか、掲載面は21面「投資情報2」の右肩でした。

 再録した記事の末尾を飾るのは、曽我有信(そが・ありのぶ)取締役執行役員(財務担当)のコメント。「曽我氏は日本経済新聞の取材に『今後のM&Aは数や規模ではなく質を重視したい』と強調。スタートアップ企業との連携も深めていく方針も示した」(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGD156FE0V10C21A2000000/

 脊髄反射で「その言や良し」と大きく相槌を打った「ニッポン凄いゾ論」の「意識高い系」諸兄姉(しょけいし)にとって今回の拙稿は、些か読み進むのが辛いかも知れません。が、太古の昔から“良薬は口に苦し”。それも又、「公理」なのです。

「#Tokyoインパール2021」のハッシュタグがSNS上で人口(じんこう)に膾炙(かいしゃ)する程に迷走・混迷の度合いを深める、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会TOCOGからマーケティング専任代理店として2014年4月17日に指名を受けた「(株)電通」。

「当社は、これまで長年にわたり培ってきたスポーツ事業における知見やノウハウを生かし、2020年に開催される第32回オリンピック競技大会および第16回パラリンピック競技大会の成功に向けて、組織委員会のマーケティングパートナーとして、マーケティングプランの策定やスポンサーセールスなどを支援し、グループの総力を挙げて貢献してまいります」のプレスリリースは現在もHPで閲覧可能です。(https://www.dentsu.co.jp/news/sp/release/2014/0417-003720.html

 その後、幾度かの組織改編を経て「電通」は現在、国内事業会社「(株)電通」。その社内カンパニーとして電通を中核に日本国内の約130社で構成される「電通ジャパンネットワーク」。昨年9月25日に電通イージス・ネットワーク(株)から社名変更したロンドンが本拠地の海外事業会社「電通インターナショナル(株)」。それらを束ねる純粋持株会社「(株)電通グループ」。以上4組織に大別されています。

 以下は、電通グループ代表取締役社長執行役員兼CEOにして、電通インターナショナル非常勤取締役(Non-Executive Director)も務める畏友・山本敏博氏への“最後の諫言”。最後までお読み頂ければ幸いです。