電通vs博報堂。ヤマト運輸vs佐川急便。アップルvsアマゾンetc.
有名企業の決算書を徹底分析!「儲かっている」のはどっちだ?
本連載は、誰もが知っている有名企業の決算書を対比させることで、「仕事に効く会計知識」と「経営分析の基本」を一気に学ぶものだ。著者は、「監査法人」「証券会社」「ベンチャー企業」「会計コンサル」、4つの立場で「会計」に携わった経験を持つ川口宏之氏。近著に『経営や会計のことはよくわかりませんが、儲かっている会社を教えてください!』がある。

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 前回記事『「電通より博報堂の売上のほうが大きい!?」会計の罠を見破る方法』の続きです

ビジネスモデルを徹底分析

 広告代理店とは、メディアと広告主の間に入って、メディアから仕入れた広告枠を広告主へ販売するビジネスです。

 テレビCMであれば、「自社商品の広告を流して販促をしたいと考える企業」と「テレビ番組の制作費を賄うために広告収入を得たいテレビ局」とをマッチングさせるのが広告代理店の役割です。下記のイメージ画像を見てください。

 端的にいえば、広告枠を右から左へ流すビジネスなので、大きな付加価値はありません。広告物の製作も広告代理店の役割ですが、出演するタレントへのギャラ、スタジオ代、映像機材費、カメラマン代など、外部に支払うコストも多額です。

 そのため、他の業種と比べて高いマージンをとりにくいビジネスといえます。それは、粗利益率の低さが物語っています。

 一般に粗利益率は、製造業なら30~40%前後、飲食業なら70%前後ですが、広告代理店は20%前後しかありません(電通の粗利益率は17.4%、博報堂DYホールディングスは22.5%)

 そのため利益を増やすには、規模を大きくするしかありません。

 しかしながら、広告代理店の主戦場「テレビ」「ラジオ」「新聞」「雑誌」のマス4媒体はいずれも頭打ち。広告価値の大きな伸びは期待できません。今まで通りの戦略では、売上は下降の一途をたどることになってしまいます。

 このようにマーケット全体が縮小しているとき、企業はどのような戦略をとるべきなのでしょうか。