荒々しさと多様性があふれるB3の魅力
私はB3の試合をいくつか体験して、「B3は実は面白い」とあらためて気付かされました。私自身、各チームの本拠地を訪れるごとに、びっくり箱を開けるような感覚で、特徴あふれる相手チームの様子を見ています。B1のチームはその特徴に大きな違いはないように私は感じます。皆一様にレベルが高いので、チームとしての凸凹が見えにくいということかもしれません。バスケの玄人ではない多くのファンにとっては「みんなすごい。どのチームもすごい。これぞ日本の最高峰のバスケ。以上」、です。それに対して、B3のチームはその一歩も二歩も手前のレベルであるが故に、荒々しさと多様性があります。逆に言えばチームごとに個性が強いように感じます。
例えば、私たちが今シーズン最初に戦った金沢のチーム、金沢武士団は試合が始まっても1人の外国人選手がマッサージをベンチ後ろで悠々と受けています。そして、登場するやいなやエースは俺だとばかりに、1人でがんがん活躍するという、分かりやすいエース中心に組み立てられたチームです。次に戦った愛知のチーム、アイシン・エィ・ダブリュ アレイオンズ安城はいわゆる実業団チームです。入場料収入に頼ることなく、安定した運営資金があるため、B1、B2にもいそうなレベルの高い選手が集まっています。当然、B3の中ではかなりの強豪なのですが、運営が安定しているからか、高いレベルのプロが特つ「いつクビにされるか分からないピリピリ感」がなく、みんな和気あいあいとして楽しそうな雰囲気です。また、東京を本拠地とする東京エクセレンスには、サムエル・デグアラという225センチの外国人選手がいます。ちょっと背伸びをするとダンクシュートができるというすごく大きな選手です。
このようにB3はB1とは違って、オリジナリティーあふれるチームが数多く所属しています。このオリジナリティーこそがB1よりレベルが落ちるB3のチームを見る動機にもなると思います。マーケティングとしてもそこは意識すべきですし、だからこそ、荒々しいプレーや個性の強い選手がB3にはもっといていいと思います。
では、さいたまブロンコスはどんなチームでしょうか。強さは今のところありませんが、荒々しさと、選手の多様性では負けてはいません。見ていて面白いチーム、という点ではB3の中でも上位ではないかと思います。玄人が見ても分かりやすくうまい外国人選手も1人いますが、外国人選手に依存したチームではありません。ガードは正直ボールを運べず苦しんでいます。だから多様なガードが入れ代わり立ち代わり登場し、必死にボールを運びます。シューターは、なかなかのレベルの日本人選手がそろっています。しかし、いい体勢でボールをもらえないため、自ら切り込んだり、ガードのごとくボールを運んだり、シューターの枠を超えたさまざまな役割でプレーしています。かつてのシカゴブルズの名選手、デニス・ロッドマンをほうふつとさせる荒々しいリバウンドで輝きを放つルーキーもいます。将来がとても楽しみな選手です。相手チームのでっかいセンターに、体格で劣る日本人選手が群がり、ねちっこくディフェンスします。