スポーツビジネスの成否のカギを握る自治体や地元企業との関係づくり。しかし、かつてのずさんな運営によって信頼を失っていた「さいたまブロンコス」にとって、それはマイナスからのスタートだった。歓迎されない相手とどのように接し、どのように信頼関係を築くのか。かつて横浜DeNAベイスターズの変革で培った池田純氏の方法論に注目する。
埼玉の人々との「縁」をつくり直す
B1、B2の試合が10月からスタートし、バスケットボール男子Bリーグは2020-21シーズンに入りました。しかし、わが「さいたまブロンコス」が所属するB3の試合が始まるのは年明け1月からです。私は現在、シーズンインに向けてチームづくりを進めるとともに、チームの活動を支えてくれる地元の地盤固めにまい進しています。
以前の「埼玉ブロンコス」を平仮名の「さいたまブロンコス」に変えたのは、さいたま市がメインのホームタウンであることを明確にするためですが、ブロンコスのホームは1カ所だけではありません。これまで、チームが公式試合を開催してきた所沢市、春日部市、深谷市もまたブロンコスの「地元」であると私は考えています。さらに、さいたま市に近い伊奈町にも大きな可能性があると思っています。コロナショックがいくぶん緩和してからのこの1、2カ月の間、私はその4市1町の方々との対話を続けてきました。新生ブロンコスとして、いわば「縁をつくり直す」作業です。
縁のつくり直しに必要なのは、その市や町における5つのステークホルダー、すなわち、行政、経済界、スポーツ団体、教育界、そして町場の商店会と良好な関係を取り結ぶことです。しかし、実際にアプローチしてみて、同じ埼玉県内といえども、市や町によってバスケットボール、あるいはブロンコスに対する思いに大きな差があることを、私は身をもって知らされることになりました。