一周回って着目される森氏のパーソナリティー
“正義vs.悪”の二元的な切り取り方は古い

 森氏の長女と孫娘がある雑誌の取材に答えた記事がネットで話題になり、Twitterでは一時「森喜朗氏の長女」なるワードがトレンド入りしていたようである。記事は森氏の長女と孫娘がインタビューに回答する形で、主に「お騒がせして心底申し訳ない」のおわびと氏の家庭での人柄を伝える内容で、「森氏に女性蔑視の気配は感じられない」「女性が多い家庭で、森氏の立場はむしろ弱い」「(質問に答える形で)たしかに世代的にジェンダーレスを理解するのが難しいのかもしれない。しかし理解しないまま許される立場ではないことは承知している」といった趣旨のことが書かれていた。

『鬼滅の刃』で敵として登場する悪逆非道な鬼たちは、そこに堕するまで、同情に値する凄惨な過去を持つことが多い。悪が“悪”だけで終わらずその背景が探られようとするこの視点は最近見られるようになってきた世の傾向で、これまでスタンダードだった“正義vs.悪”の二元的な切り取り方はいささか古くなってきている。ヘイトをためにためて、いよいよ悪の親玉じみてきた森氏にもこの新時代の視点が適用されたわけである。

 その記事ではまた、女性蔑視に関する認識の隔たりの主な要因にジェネレーションギャップが挙げられ、さらにインタビューに答える長女と孫娘の様子が謙虚であったから一定の支持を得て、ネットでは「うちの祖父も森氏と似たようなもの」など森氏のスタンスにある程度の理解を示す声が散見されるようになった。