写真:アウンサンスーチーのプラカードとバナーを持っている抗議者Photo:SOPA Images/gettyimages

 ミャンマーの軍事クーデターに反対するデモ参加者の間で、その象徴的な存在となったあるシンボルがある。3本指を掲げるサインだ。ストを決行する公務員から学生デモ、海外に逃れた難民でさえ、抵抗の印としてこの3本指のサインが広がった。

 きっかけは、2014年に隣国タイで起きた別のクーデターに反対する抗議デモだ。シリーズ小説で映画化された「ハンガー・ゲーム」で暴君的な権力者に立ち向かうシンボルとして描かれている3本指サインをデモ隊がまねたことで広く浸透した。政治活動家のリッティポン・マハペッチ氏がバンコク市内中心部の交差点で、兵士が集結していた歩道橋を背景にこのサインを掲げる画像は、クーデターから約1週間で急激に拡散した。

 3本指サインの浸透は、アジア地域で中心となって独裁体制に反旗をひるがえす若者らが、自らの苦境を互いに重ね合わせ、相互に運動を支援している姿を浮き彫りにする。分散して行われた香港の民主化デモは、軍が後ろ盾となっているエスタブリッシュメント(支配層)に抵抗するタイの民主運動の手本となった。ネット上の「#ミルクティー同盟」のハッシュタグは、台湾からミャンマーまでアジアの民主活動家が互いに結束を示す象徴となった。

 だが、民主活動家が立ち向かう当該国の政府も、互いに寄り添い合うようになっているとの指摘が出ている。