10月1日、ソフトバンクとの経営統合を発表したイー・アクセス。通信業界の規制改革を促してきた千本倖生会長に胸中を聞いた。
──ソフトバンクが時価総額の約3倍に当たる約1800億円で買収すると発表したが、心境は。
経営統合の発表をしただけで、そのプロセスがやっと始まったというところだ。これから来年2月の統合に向けて、ネットワークやシステムの整備から公正取引委員会の審査などやることがある。
そもそもわれわれは音声通話ではなく高速のインターネット接続に特化したユニークな会社だ。高速通信LTEのサービスも月額3000円台と世界的にも低価格で提供している。ブロードバンドの普及を推し進めるため、1999年の創業以来ゼロからADSLやモバイルデータ通信、LTEと広げ550万人の顧客基盤を築き上げてきた。
もともと経営統合は考えていなかった。今年2月には中期事業戦略を出して自立路線で成長すると掲げていた。
それがiPhone5発売で状況が変わった。それも、ソフトバンクの孫正義社長が何としてでも一緒になりたいという情熱的な提案を出してきたからだ。株主の立場を踏まえれば考えざるを得なかったのだ。
──1~2週間で交渉が決着した。
iPhoneという革新的な製品が革命を起こし、LTEというずば抜けたネットワークができたことで、世界的にも業界の潮流が劇的に変わっている。
われわれのネットワークはLTEで国際基準になっている。それがiPhone5の(パソコンなどとインターネット接続ができる)テザリングに使えるとなり、ネットワークの価値が倍加したのだ。