「こんまり」こと近藤麻理恵は、今や世界で最も知られる日本人の一人。彼女の世界進出を手がけてきたプロデューサー兼夫である私の初めての書籍『Be Yourself』が発売されました。本書で伝えたのは、自分らしく輝くことの大切さ。前回の記事(「楽天CWOの小林正忠が告白「月1回、家族全員の墓参りで心を整える」」)に続き、今回も楽天のCWO(チーフ・ウェルビーイング・オフィサー)として社員が自分らしく輝く取り組みを実施している小林正忠さんに話を聞きました。コロナ禍でなかなか社員とのコミュニケーションが取りづらいなか、どんな取り組みを実践しているのでしょうか(構成:宮本恵理子)。

川原卓巳さん(写真左)と小林正忠さん(写真右)

川原卓巳さん(以下、川原):対談の前編で、セイチュウさん(小林正忠さんの愛称)は毎月1度、先祖や早世した息子さんが眠るお墓を家族全員で訪れ、手を合わて感謝の気持ちや「1秒を大切に生きる」という思いを改めているとおっしゃいました(詳細は「楽天CWOの小林正忠が告白「月1回、家族全員の墓参りで心を整える」」)。

小林正忠さん(以下、小林):日常生活の中に必要な「間」、余白ですね。実は、同じことを組織づくりでも考えていて、新型コロナウイルスの感染拡大を機に議論を深め、2020年夏から、「楽天ピープル&カルチャー研究所」が持続的なチーム形成に向けたガイドラインをつくったんです。

「ある目的のもとに、ありたい姿を持つ多様な個人がつながりあった持続可能なチームの状態」を「コレクティブ・ウェルビーイング」と定義し、個人も組織も、”ありたい姿”を見つめ直すきっかけを積極的につくろうというメッセージを発信しています(詳細はこちら「コレクティブ・ウェルビーイング」)。

川原:まさに企業型の「Be Yourself」!

小林:具体的には、「三密」ならぬ「三間(さんま)」と呼ぶ余白づくりを提唱しています。「三間」とは文字通り、三つの間のことで、「仲間・時間・空間」。

(画像提供:楽天)

小林:目的を共有できる多様な仲間とつながりながら、適度な休憩時間やリズムを確保して、自律的な働き方を推進し、安心につながり、能力を最大限発揮できるスペースを設計していく。こんな発想が、これからの企業経営にはより重要になっていくだろうと考えているんです。

川原:個人も企業も同じですね。僕と麻理恵さんも、毎朝必ず神棚に手を合わせることを習慣にしていて、自分の存在と他者とのつながりに感謝する時間をつくっているんです。

「自分らしさ」と言うときにありがちな誤解は、それを「自分勝手になっていい」と捉えてしまうことです。そうじゃなくて、脈々とした人の営みの重なりに感謝して初めて、やっと自分らしさは表現できる。あるいは、誰かが果たせなかった思いを背負うとか。

 僕自身の経験だと、尊敬していたじいちゃんを自死で亡くしています。祖母の介護疲れが理由だったのですが、「じいちゃん、ふざけるなよ。孫の僕には『かっこよく生きろ』と言っていたじゃねえか」と、悲しみを通り越して怒りが湧いてきて……。

 本物のかっこよさは何かを見せるつもりで、僕は絶対に身近な人を悲しませたりしないと誓いました。「家族が大事」という優先順位はブラさないと決めている。だから、セイチュウさんのような生き方が大好きなんです。

小林:実際には妻に叱られてばかりですけどね。「朝ごはんを作ったくらいで子育てを頑張った気になっていない?」と苦言を呈されたり(笑)。放っておくとワーカーホリックになるタイプなんですが、程よいタイミングで妻がいい気づきを与えてくれるから、助かっています。

川原:僕もそうです。キリキリとやっていると麻理恵さんが鈴のような声で「ちょっとお茶しましょうか」と声をかけてくれて、本当にありがたいです。