担任(左側)が児童に国語の教科書を読み聞かせている
担任(左側)が児童に国語の教科書を読み聞かせている Photo by Maki Fukuhara

2019年、学校において医療的ケア児が安全に適切に生活できるよう支援体制の方針が決まり、予算も確保された。だが、中心的役割を持つ学校看護師の確保が困難なこともあり、現状はなかなか進まない。その背景には、そもそも学校看護師の仕事が知られていないことや、看護師が現場で抱える課題を解決する仕組みが整備されていないことなどがある。そこで、学校看護師の実際の仕事や、神奈川県内の小学校の先進的な取り組みなどを取材してみた。(医療ジャーナリスト 福原麻希)

重度・重複障害児の元気で
楽しい小学校生活

 神奈川県在住の半谷大知(はんがい・たいち)君(小学4年、10歳)は、生まれつきの難病で呼吸がしにくいため、のどを切開(気管切開)している。このため、言葉を話すことができない。日常的に鼻や口から痰の吸引も必要になる。

 嚥下(えんげ)障害もあるため、腹部に設置した胃ろうから水分や栄養を摂取している。さらに、出産時の呼吸障害による低酸素脳症の影響で体を思うように動かせないため、日常生活ではリクライニング式車椅子に座っている。

 このような医療的ケアが必要な子どもは、いま、全国で約1万8000人いる。かつて、医療的ケア児は自宅に教員が訪問して学習する訪問教育を受けていた。だが、文部科学省は特別支援学校や居住地域の学校へ通学できるよう方針を変えて予算を確保している。