しかも、このように「権力の監視」を掲げて偉そうにしているテレビが、裏では権力にもみ手で近づいているという事実が、国民に注目されてしまうと、大新聞にとってもよろしくない。大新聞もテレビと同じように権力に擦り寄って、軽減税率やら日刊新聞法やら「既得権益」を守るロビイングをしているからだ。

総務省接待問題から見える
マスコミの「ご都合主義的な正義」

 わかりやすいのが、首相と新聞幹部の会食が頻繁に開催されていることだ。昨年12月の首相動静を見れば、新型コロナで自粛だなんだと言われ始めていたにもかかわらず、菅首相は日本経済新聞の会長や社長、フジテレビの会長、社長、読売新聞の幹部、日本テレビの執行役員などと会食をしている。

 もちろん、これを当事者たちは「取材」「意見交換」だと説明する。しかし、総務官僚が東北新社の事業について話題にのぼっていないと国会で言い張っていながらも、実は裏でちゃっかり衛星放送事業について話し合っていたように、密室会合の中で電波行政や新聞への優遇措置などが話題にのぼっていてもおかしくはない。

 東北新社と総務省の関係を叩けば叩くほど、こういうマスコミ業界にとって耳の痛い話にも注目が集まってしまう。この「特大ブーメラン」を恐れるあまり、テレビも新聞も早くこの問題を国民が忘れてくれるように、大人しくしているのではないのか。

 いずれにせよ、「菅首相長男接待問題」がモリカケ問題よりも闇が深く、モリカケ問題よりも行政を歪めている可能性が高いことは、誰の目に見ても明らかだ。この問題に対して疑惑を追及しないという偏ったスタンスは、「ご都合主義的な正義」だと謗りを受けてもしょうがない。

「偏向報道」という汚名を返上するためにも、心あるマスコミ人にはぜひ疑惑の徹底追及をお願いしたい。

(ノンフィクションライター 窪田順生)