「新規事業に打って出て経営を立て直したい」
この考えには大きな間違いがある
小宮コンサルタンツ代表
「コロナ不況」が続いているために既存事業は頭打ち……。コロナ禍で人手不足が解消された今こそ、新規事業に打って出て経営を立て直したい――。
このように考える経営者は多いと思います。しかしこの考えは大きな間違いがあります。
ピーター・ドラッカーは、「既存事業の業績向上」「機会の追求」(地域的拡大や商品ターゲット層の拡大)「新規事業」の3つのうち、経営者がまずやるべきことは「既存事業の業績向上」だと説いています。
達成の難易度も「既存事業の業績向上」→「機会の追求」→「新規事業」の順で高くなっていくため、「既存事業が頭打ちだから新規事業に打って出よう」というのは、それだけでは無謀です。多くの企業を見てきた私の経験からも、既存事業の業績向上に限界を感じている経営者が新規事業に参入して成功するには「大前提」があるのです。
その「大前提」ついて、コンビニ業界を例に説明しましょう。
セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンの大手3社の店舗数と1店舗当たりの1日の売り上げを比較すると、セブン-イレブンの国内店舗数は約2万1000店舗で、各店舗の1日の売り上げがおおよそ64万~65万円です。ファミリーマートとローソンは国内の店舗数はそれぞれ約1万5000店舗前後で、各店舗の1日の売り上げはだいたい54万~55万円。このような差はこの20年ずっと、大きな変化はありません。
では、セブン-イレブンと、ファミリーマートとローソンの違いは何でしょうか?