写真:東京2020オリンピックを宣伝する看板Photo:SOPA Images/gettyimages

――筆者のジョナサン・コラッチ氏は中国や中東に関する著述が多く、著書に「At the Corner of Fact & Fancy」などがある。

***

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長を務めていた83歳の森喜朗氏の「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」といった女性蔑視発言を受けて高まった同氏への国際的非難は、橋本聖子氏が会長に就いたことで沈静化した。しかし東京が「世界を団結させるオリンピック」と呼ぶ大会を行うためには、90度の方針転換が必要だ。

 今回の東京五輪は、開幕が今年7月へと1年間延期されたが「東京2020」という元々の呼称は維持されている。東京2020の関係者らと国際オリンピック委員会(IOC)は半年以上にわたり、新型コロナウイルス感染症の暗雲の下で夏のオリンピックをどのように開催するかについて、知恵を絞ってきた。その結果、「大会の安全と成功のため」東京五輪関係者が順守すべき厳しい規制の概要を記載した4つのプレイブックがまとめられた。五輪関係者には、アスリートと彼らのスタッフ、国際スポーツ団体関係者、取材許可を得た報道関係者などが含まれる。それぞれのプレイブックの間には多少の違いはあるものの、人々の接触を最小限に抑えるという点は共通している。しかし、人々の相互交流のないオリンピックが、世界的なスポーツの祭典という本来あるべき姿の大会になり得るのだろうか。