東京オリンピック・パラリンピック(以下東京五輪)開幕まで半年となった。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、菅政権は「開催する」「無観客で行う」「中止する」のいずれも選択できず、「1年延期する」が唯一の選択肢となるだろう。その理由について解説する。(消費者問題研究所代表 垣田達哉)
政府が開催すると
明言できない理由
菅義偉首相は1月18日に召集された通常国会の衆参両院の本会議の施政方針演説で「夏の東京五輪は、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして、また、東日本大震災からの復興を世界に発信する機会としたいと思います。感染対策を万全なものとし、世界中に希望と勇気をお届けできる大会を実現するとの決意の下、準備を進めてまいります」と述べた。
注目すべきは、菅首相は「準備を進める」とは言うものの、一言も「開催する」とは述べていないことだ。「開催する」と言うならば、平時の五輪ではないのだから、「選手団や観客の受け入れ条件」や「運営方法」「感染対策」などを公表しなければならない。
例えば、選手団やマスコミ等の五輪関係者の受け入れ(日本への入国)条件はどうなるのかということだ。