東日本大震災から10年を迎えた。この間、東北の企業業績はどのように推移してきたのか。東京商工リサーチが最新の調査で解説する。(東京商工リサーチ情報部 永木緋鶴)
右肩回復から停滞局面へ
今期は業績悪化の懸念も
2011年3月11日に未曽有の被害をもたらした「東日本大震災」から10年を迎えた。地震、津波、そして東京電力福島第一原発事故は、世界に地震の悲惨さとチェルノブイリ原発事故の恐怖をほうふつとさせた。甚大な被害を被った東北は復興に向け歩みを進めるが、復興支援が一巡すると企業業績のピークアウトが鮮明となった。新型コロナウイルスの収束も見えないなかで、東北は新たに転換期を迎えている。
東北には東日本大震災で津波、原発事故など、かつてない試練が降りかかった。とりわけ、岩手、宮城、福島の3県を中心に、被害者は死者1万5899人、行方不明者2527人(警察庁調べ)に上った。さらに、道路網の寸断、工場設備の損壊は想定外のサプライチェーン寸断を招き、世界の製造業に大混乱を引き起こした。こうした先の見えない暗闇からの再出発だったが、地場企業は復興に向けて踏ん張ってきた。
東京商工リサーチが行った東北6県(青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県)の業績推移の調査結果はグラフの通りだ。