最適な退職金の受け取り方は
税金ではなく「定年後のライフプラン」で決める

 ややこしいことはどうでもいいので、どう受け取れば一番得なのかを的確に教えてほしい、というのが本音だろう。事実、マネー雑誌でも「退職金の有利な受け取り方」という記事が載っていることは多い。

 しかしながら、結論から言ってしまうと、「誰にとってもこの方法が一番良い」という絶対的な正解は存在しない。

 だいたいにおいて、そうしたマネー雑誌の記事では「どうすれば税金が一番お得か?」という視点でしか語られていないことが多いのだが、退職金をどう受け取るかで最も重要な要素は、税金よりもむしろその人の定年後のライフプランである。

 税金だけで見れば、多くの人は「一時金でもらえば退職所得控除が適用されるので、ほとんど税金はかからず、その方が得だ」と考えるだろう。確かに定年まで38年間勤めた場合、退職所得控除は2060万円となるので、多くの人にとって税金がかからないだろうことは想像できるが、税の問題はそれだけではない。

 企業年金には普通の退職金や確定給付企業年金以外にも確定拠出年金があり、いずれも一時金で受け取ることが可能なのだが、もし、これらの制度が並存している場合であれば、受け取りのタイミングによっては課税される場合とされない場合が出てくるので、税のことだけを考えても一概に「一時金の方が得だ」とは必ずしも言い切れない。

 それに一時金でなく年金で受け取る場合には、支払われている間、原資となるお金が一定の利回りで運用されている。これを「給付利率」というが、一般的には2%前後のところが多い。一時金を受け取って自分で2%以上で運用する自信があればそれもいいだろうが、安定してその利回りで運用してもらえるのであれば、年金で受け取るのも悪い選択肢ではないだろう。