ワクチン接種が進むな「コロナ対策優等生」と言われるイスラエルだが… ワクチン接種が進むな「コロナ対策優等生」と言われるイスラエルだが… Photo:Anadolu Agency/gettyimages

人口の大多数が1回目のワクチン接種を終えたイスラエル。日本メディアもイスラエルの先進事例を取り上げるなど、「ワクチン接種優等生」としてのイスラエル像が定着しつつある。その一方で、その「舞台裏」では混沌とした状況も広がっていた。当地にいる日本人の間では「確かに日本よりも優れているところもあるけど、でも、イスラエルはイスラエルで大概だよね」というのが共通見解でもある。ここでは、具体的な事例を挙げてその混乱ぶりを紹介したい。(イスラエル国立ヘブライ大学大学院・総合商社休職中社員 徳永勇樹)

「マスクとは、鼻と口を覆うものである」
わざわざマスクを解説する理由

 現地法人で働く池田さん(仮名)。コロナ騒動が始まって少したったの2020年7月ごろ、会社の社長から社員に一斉送信でメッセージが出たという。

「オフィスのキッチンに入るときは必ず顔にマスクをするようにしましょう。なお、顔とは鼻と口を意味しています」

 社内でマスクをしない社員に対する注意喚起という意味合いだったのだが、池田さんは「え?イスラエルの人って鼻と口以外にマスクをするの?」と大変困惑したという。

 確かに、コロナ前までは、世界でも日本人くらいしかマスクをつけていなかったと言われているが、それにしても、社長自らこのような指示を出すということは、マスクの異常な使用方法をどこかで見てしまったのだろうか。