警察官時代の「職務質問」で学んだ
正しい「質問」の方法とは?

「クレーマーに対して毅然と質問などできない」「何か言ったら、逆に火に油を注ぐのではないかと不安になる」

 相手のクレーム内容や気持ちが把握できない“グレー”な局面のクレームは、誰しも困惑してしまいます。こうした局面でクレーマーに「異物や混入した虫の写真をネットに投稿する」などと言われれば、担当者はパニック状態に陥ります。

 クレームの実態を見極めようとするとき、相手との「距離の取り方」や「ピントの合わせ方」に苦労するかもしれません。私もクレーム対応を始めた当初は、その感覚がなかなかつかめませんでした。しかし、警察時代の職務質問(職質)の経験が生かされたのです。

「話が聞きたいのなら令状持ってこいや!」
新米警察官の失敗談

 私が警察官になりたての頃、実際にあった失敗談をします。

 ある日の110番通報「アパートの騒音苦情」で現場に赴き、少年(16~17歳)に名前を尋ねたところ、逆に追い込まれてしまったのです。

「なんで名前を言わなあかんのや!!」

 職務質問を行うつもりだった私としては、逆に質問されることを想定しておらず面食らいました。しかし、少年のふてぶてしい態度に腹を立てる間もなく、次なる二の矢の一言でとどめを刺されました。

「話が聞きたいのなら令状持ってこいや」

 その一言とともに閉められたドアの前で、私はなすすべがありませんでした。

 いくら質問を繰り出して名前を確認しようとしても、相手が耳を傾けなければ強制力もなく、文字通り「話にならない」手詰まり状態だったのです。