「老舗の透析病院から移ってこられた患者さんたちです。この方たちのように、四十数年も透析をつづけている患者さんは全国にほんの一握りしかいません。患者さん同士、皆さんつながっているので、仲間内で情報交換をした結果、当院を選んでいただきました。

 日本透析医学会が毎年実施している『わが国の慢性透析療法の現況』によると、2019年の年間粗死亡率は10.1%で、3万4642人もの患者さんが亡くなっていますが、当クリニックの年間粗死亡率は5.6%。長生きする患者さんは増えています」

 選ばれる主たる理由は、患者の状態やライフスタイルに応じた最善の透析療法を選択し、提供できる体制と、従来の常識にとらわれない実践的な食事療法にある。

「日中に行う施設透析から、準夜透析、オーバーナイト透析、在宅血液透析、腹膜透析と幅広く対応しています。在宅透析やオーバーナイト透析を導入している施設は、全国に4000以上ある施設のなかで40ぐらいしかありません。患者さんにとって本当にいいと思える療法を次から次と実現できているのは、スタッフのお陰です」

 ちなみに、オーバーナイト透析は、深夜帯の睡眠時間を利用して行う長時間(8時間)透析だ。身体に蓄積された尿毒素や水分を、ゆっくりと時間をかけながら除去するため身体への負担が少なく、血圧の安定や薬の減量、貧血の改善が期待できる。

「当クリニックでは、金曜日の深夜に実施しています。患者さんは、就労しながら治療を受けている方々です。月水は、仕事帰りに5時間の透析を受け、金曜日にオーバーナイトで透析することで、土~月曜にかけて透析の間隔が2日空きとなることで起きるリスクをなくすこともできます。

 ただ、オーバーナイトは難しい患者さんもおられるので、そのような患者さんに対しては、土曜日もしくは月曜日に短時間でも追加の透析を受けることを勧めています」

 患者にとってオーバーナイト透析は、就寝中に受けられることで体感時間が大幅に短縮され、ベッド上での拘束時間のストレスをなくすことができるのが一番のメリットだが、生命維持に対するメリットはさらに計り知れない。

 例えば、患者3万人を対象に行った調査では、透析間隔が2日空いた時の死亡や入院の危険が有意に高いことがわかっている。また透析日と曜日別死亡率の関係も、月水金で透析を受けている患者では月曜日、火木土の患者では火曜日の死亡率が明らかに高い。オーバーナイト透析によって、間隔が1.5日に縮まる効果は生命を左右する。