サッポロビールサッポロビール人事部が行っている人事改革とは? 写真提供:サッポロビール

就職活動の際に、誰もが一度は受験したことのある適性検査。実は採用時の選抜に使われるだけではなく、新入社員の配属、さらには既存社員の配置転換にも活用され始めている。実際に活用している企業の一つが、サッポロビールだ。同社では、いかにして配属や配置転換に変革を起こそうとしているのか。(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)

経験と勘で行われてきた
人事異動を「人事データ」で補完

「新しい課の課長は〇〇さんに任せるとなると、部下は△△さんと●●さんかな…」

 まもなく4月、人事異動や新入社員の配属が決まる季節だ。多くの企業ではその検討のたびに、役員や人事担当者などがひざを突き合わせて、こうしたやり取りを行ってきたことだろう。しかし、重要な決定事項であるにもかかわらず、これらはすべて過去の「経験」や「勘」によって行われてきた。

 こうした方法に対し、「裏付けが欲しい」と人事データの活用を始めたのがサッポロビールだ。

 以前から同社人事部では、毎年すべての事業所を回り、個人の働きぶりや組織の様子をヒアリングしたり、人事異動を希望する全社員と面談したりするなどして、異動候補者を選定する重要な材料にしてきた。

「配置転換や配属を検討する際、人事部でヒアリングなどを行ってきたことが参考になっていたものの、ヒアリングだけではわからない『適性のある人』を見逃していた可能性もあった。そこで、人事に関するデータをオンライン上のデータベースに集約して、異動を決める際の重要資料として活用することにした」(サッポロビール人事部マネジャー・竹内利英氏)

 2016年秋から人事データベースの統合と構築を開始したが、その中でも大きな役割を果たしたのが、採用時に行われたSPI(適性検査)の結果だった。