人事データ活用へのアレルギー
どう対応していくべきか

 今回のサッポロビールのケースでは、人事部が適性検査を活用することに対して、社内からのネガティブな反応はないというが、同社人事グループリーダーの赤羽尊弘氏は、「その点には人事部として最大の注意を払ってきた」と振り返る。

「適性検査の結果なども含めて、人事データは何のために活用するのか、社員自身のためのツールであることを発信することで、不安な気持ちも払拭できると考えている。そこで、人事として発信をするごとに、この点を社員に伝えてきた」(赤羽氏)

 SPIを提供し、サッポロビールでのデータ分析も支援してきたリクルートマネジメントソリューションズの竹内淳一エクゼクティブコンサルタントは、「人事データの活用を行うには、信頼関係が肝になる」と語り、こう続ける。

「実際、人事データの活用に対して、現場社員がネガティブな捉え方をするケースはある。そうならないためには、これまでに人事部が現場の社員と信頼関係を構築できていないと難しいだろう」

 これまで多くの人が、経験と勘によって行ってきた配置転換や配属、マネジメント。しかし、変化と多様性の時代に対応するためにはやはり“武器”が欠かせない。サッポロビールの竹内氏も「データですべてを決めるわけではない」と語るように、データにサポートしてもらうことによって、すべての社員が自分の適性に合った仕事でいきいきと働けるようになることが大事ではないだろうか。