富士通
東京都・蒲田にある富士通ソリューションスクエア。コロナ以前は、多くのシステムエンジニアが出勤していた Photo:Diamond

これからの時代において必要なマネジメント力は「コーチング型」だと言われて久しい。しかし、「それで本当に成果が出るのか」と本音では疑問を抱いていないだろうか。そんなマネジャーの疑問を払拭させようと、ピープルアナリティクスを活用してコーチング型マネジメントの浸透を図るのが、富士通だ。この取り組みを推進する総務・人事本部の佐竹秀彦・人材開発部長に話を聞いた。(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)

コーチング型のマネジメントが
定着しないのは「納得感」がないから?

 この数年で、マネジャーの仕事が以前よりも格段に難しくなったと感じている人は、少なくないだろう。リクルートマネジメントソリューションズの研究機関であるHR Analytics &Technology Labの入江崇介所長は、現在のマネジャーが置かれた状況について、こう語る。

「働き方改革やデジタルトランスフォーメーション(DX)に加え、新型コロナの感染拡大という予期せぬ変化が起こる中、管理職に求められるマネジメントの要素は、以前よりも格段に多く、難易度も高まっている。いわゆるVUCAと呼ばれる、変動性があり、不確実で、複雑かつ曖昧な時代においては、マネジメント手法も変化しなければならない」

 では、変革の時代に対応できる「優秀なマネジャー」とは、どんな特徴を備えた人なのか。それを人事データの活用によって、客観的な形で明らかにしたのが富士通だ。

 同社では2017年から働き方改革を開始したが、この中で生産性を向上させるには、社員の自律性を高める必要があり、カギを握るのは管理職によるマネジメント力だと分かった。そこで管理職のマネジメントの実態をつかもうと、18年には一般社員が自身の上司のマネジメントについて、回答する「職場マネジメントアンケート」を実施した。

 アンケートでは、変革力や育成力、人間力などを含む計15問でスコアリングを行い、コメントも記入してもらった。集計・分析後に、結果を本人とその上長にフィードバックしたところ、「振り返りができてよかった」という声と同時に、「自分の課題は分かったが、どう変わっていいのか分からない」という声がたくさん寄せられたのだという。

 この取り組みを推進する同社の総務・人事本部の佐竹秀彦・人材開発部長は、「定期的にマネジメント研修などを行って、現在の管理職に必要なことを伝えているにもかかわらず、こうした声が出るのは、研修内容が忘れられているのではないかと感じた」と当時を振り返る。