新入社員配属にも活用
上司にデータ提供で育成の促進へ

 もう一つ、適性検査の結果も参考にして行われたのが、新入社員の初期配属だ。2019年4月から実際に活用されており、本人の結果だけでなく、適性検査での結果も参考にして、先ほど挙げた職種別の適性にあった部門に配属しているという。

「正直なところ、本人の希望とそれほど適性がズレることはないが、より根拠を持って配属できると考えている」(竹内氏)

 また、新入社員の配属先のマネジャーに対しては、一人ひとりの個性を見る意識を高めてもらおうと、適性検査の結果を渡すなどしてきた。さらに21年4月からは、これをより進化させていきたいと竹内氏は語る。

「実はこれまでは適性検査の結果をそのまま、マネジャーに渡してきていた。というのも、こちらがデータを加工して見やすくすることで、新入社員にレッテルを貼ることはしたくなかったからだ。

 しかし、どう活用していいのか分からないというのが本音だっただろうし、特に今はリモート環境下で彼らを理解するのが難しくなっている。そこで、今年の新入社員からはA4一枚ほどの『カルテ』のようなものを作成して、彼らの中長期的なキャリアや個性をより分かりやすく伝えていきたい」(竹内氏)

 同社人事部では、適性検査のさらなる活用も視野に入れている。それが、上司と部下の間で定期的に行われている1on1ミーティングでの活用だ。

 同社では約3年前から上司と部下の新たなコミュニケーションの一環として1on1ミーティングを導入。単なる業務目標の進捗を追うだけでなく、部下の成長支援も行うことに力を入れ始めたが、当初は人事としてのサポートは十分でなかったという。

「変化が激しく、多様性を認め合う時代において、マネジメントに求められるものは年々高まっている。しかし、人事としてはこれまで任せきりで、マネジャーには“素手”でマネジメントに取り組んでもらっているようなものだった。

 そこでこの1年は上司と部下が1on1で話したことを記録できるシステムを作るなどして進化させている。今後は、適性検査の結果を1on1の場に取り入れてもらって、部下の適性を知り、強みを伸ばしていくマネジメントの支援をしていきたい」(竹内氏)