希望の異動を勝ち取るには
どうすればよいのか
4月に入った。コロナウイルス関連でいろいろ大変ではあると思うが、新年度を迎え、大きな人事異動があった会社も少なくないだろう。突然の異動に戸惑っている人、異動希望を出していてかなわなかった人、不本意な部署に異動させられた人……。では、そもそも、会社は何のために人材を「異動」させるのか。人事異動の目的というのは、おおよそ次の6つに分類できる。
(1)組織内での属人的業務の排除。一定以上の規模の組織では、長期的な発展のために、あるポジションのある仕事を、組織の誰がやっても同じ品質で遂行可能なようにしておこうと考える。属人性を排除するのだ。そのため、組織はそれぞれのポストに一定期間ずつ人を置き、別の人でもできるように一定期間を経たら、別の人を異動させる。
(2)組織の活性化。組織を一度意図的に混乱させ、そこから修復に向かうエネルギーを活用して組織のエネルギーレベルを上げようとする。そのために人を半ば無理やりに異動させる。組織内はいったん混乱するが、新しい要素(人)が加わることで、これまでになかった動きが出るために組織は確実に活性化する。
(3)組織内の情報チャネルの構築。組織内に縦横斜めの回路、コミュニケーションルートを確立するために異動させる。人の異動により新しい情報ルートが生まれ、事業遂行に好影響が出る。
(4)個人に多様性のある能力を構築させる。ジョブローテーションをさせて、多面的な能力を身につけさせる。個人の能力向上に重点が置かれた異動。
(5)組織内の経営計画、事業計画達成のための人材投入。新しい分野に傾注するため、1つの事業部や部署に集中的、優先的に人材を投入する。そのために、多方面の部署から人が引き抜かれて大異動が起こる。併せて、人が引き抜かれた部署への補充的な人事異動も行われる。
(6)組織内の需要と供給の調整。ある部署で欲しい人材と別の部署でいらない人材が合致すれば、社内労働市場的に交換する。相対取引であり、需要側と供給側の両者が合意した際に実施される異動である。
(番外)組織内での不正防止。特に経理などで同じ部署に同じ人が長くいると、不正が露見しにくくなり、また癒着の温床になりやすいため、定期的に人を異動させる。
こうした目的をふまえると、会社の異動の「タイプ」はさらに大きく以下の3種類に分かれる。