ドラッカーが提示する根源的な「5つの質問」を理解する連載第3回。二つ目の質問は、「われわれの顧客は誰か?」である。ドラッカーマネジメントの基本と原則を体系的に学ぶプログラム、ドラッカー塾(R)のコンテンツから二つの事例を紹介しよう。(ドラッカー塾(R) 今給黎健一)
「買ってくれる人がお客さん。改めて顧客について考える必要があるのか?」。
これは、ドラッカーマネジメントを理解するための5つの質問の二つ目、「われわれの顧客は誰か?」に対し返ってきた、ドラッカー塾(R)の受講生の答えである。このような認識が一般的であろう。
「事業の目的は顧客の創造である」とドラッカーは言っている。そのためには「誰」の「まだ満たされていない欲求を満たすのか」を明確化する必要がある。組織が活動の成果を上げるには、誰が対象であるのか焦点を絞る。活動の優先順位を定めると言い換えてもいい。そうしなければエネルギーが分散して、成果を上げることはできない。
ドラッカーは問いかける。「あなたの組織は、誰を満足させたときに成果を上げたといえるのか?」。この問いへの答を考えることで、「顧客は誰か」がわかってくるということだ。
「あなたが顧客を選ぶのではない」
ドラッカー塾(R)のプログラム開発者であり講師でもある国永秀男氏が、ドラッカーを訪ねた際に、「5つの質問」について考えてみたことを切り出した。「顧客についてよく考えてきました。こういった方を私の顧客にしようと思います」。
そう言う国永氏に対して、ドラッカーは次のように言ったという。「あなたが顧客を選ぶのではないよ」。