三つ目の質問は「顧客の価値は何か?」

ドラッカーが提示する根源的な「5つの質問」を理解する連載第4回。3つ目の質問は、「顧客の価値は何か?」。ドラッカー自身も実践していたという、顧客の価値を知ることの意義について、高級腕時計パテック フィリップの価値を考えることから始めよう。(ドラッカー塾(R) 今給黎健一)

 腕時計ひとつとっても、それに求める「顧客の価値」はさまざまである。1000円の腕時計に求める価値は「いつでも時間を確認できる」ことだろう。この価値に、「正確さ」が加わると、GPSソーラーウォッチになるかもしれない。

 一方で、「身に着けてステータスを高める」ことを求めると、パテック フィリップをはじめとする高級腕時計になるだろう。高級腕時計には機械式も多く、正確さはGPS時計に譲るかもしれないが、ステータス性に価値を見出す人は少なくない。

「顧客の価値」とは、自分たちの商品を通して、顧客にどんな価値を買ってもらっているのかを意味している。そして、その価値を知ったならば、価値が高まるように自分たちの商品をどんなふうに変えたらよいのかを考える。

品揃えを減らし、売り上げを伸ばしたヘアーカラー剤

 あるヘアーカラー剤のメーカーは、たくさんの色を揃えていた。しかし、顧客である美容師の声を聴いて、色の種類を少なくした。お客の髪を染める際に、美容師はイメージする色を出すために、カラー剤を混ぜる必要がある。色を減らせば美容師の手間が増えるように思える。しかし、この商品が逆に売れていった。

 美容師はこの商品を通して、どのような価値を買っていたのか?

 それは、「腕の見せどころ」である。少ない色を混ぜ合わせて、お客の求める色をドンピシャで出すことができる、そんな美容師自身の評価の向上を求めていたのである。