――顧客の要望に応えるには、人材の育成も重要なポイントになりそうですね。

工藤 弊社のような小さな会社ですと、採用の時点で苦労します。この地域は工業高校が二つあるのですが、かつてはなかなか来てもらえませんでした。そこで近年は、「ここなら楽しく仕事ができる」と思ってもらえるような環境づくりに力を入れています。そうすることで、元からいる社員も気持ちよく働くことができ、生産性がアップすると考えています。

――どんなことをしているのですか?

工藤 まずは快適な環境をつくろうと、敷地内に芝生を植え、「こもれびガーデン」という広大な庭を造りました。バーベキューやキャンプファイヤーもできるほどです。

 また、おいしい食事を楽しんでもらおうと、食堂をリニューアルし、週1回、総務担当役員である私の妻が手作りのランチを振る舞っています。手が込んでいて、今週のメニューはスペアリブとポトフ、先週はどて煮込みとチキンカツカレーでした。かなり好評ですね。

 社員がいきいきと働けるには健康経営も重要だと考え、2年前にライザップさんにトレーナー派遣を依頼し、運動研修を行いました。これをきっかけに、健康に気遣う社員が増えましたね。健康経営に関する表彰も受けました。

――多様な取り組みをされていますね。

工藤 そのかいあってか、社員数はバブル期以降、減少傾向にありましたが、再び増加に転じ、28人まで増えました。ここ1年の間に、新卒採用だけでなく、20代と40代の社員が、「この環境で働きたい」と転職してきました。

 昨今のコロナ禍で小学校が休校になったときには、社員が安心して働けるように子連れ出勤を許可し、即席託児所を作って、午前8時から午後5時まで預かることにしました。3人のお子さんが1カ月ほど利用し、とても喜ばれました。今後も、より働きやすい環境づくりをしていこうと考えています。

――東濃信用金庫さんとは、長いお付き合いがあるそうですね。

粉砕機をバックに、工藤社長を中心とした社員の皆さん
●中工精機株式会社 事業内容/粉砕機械設計・製造・販売・メンテナンス、大物加工各種、従業員数/28人、売上高/7億円(2020年度)、所在地/岐阜県瑞浪市日吉町5177-7、電話/0572-69-1025、URL/chukoh-seiki.com

工藤 はい。メインバンクになっていただいています。実は、50年ほど前に粉砕機の輸出で大きな損失を被ったことがありました。手形が使えなくなり、苦境に立たされた弊社に手を差し伸べてくれたのが東濃信金さんだったのです。今もいろいろとサポートしていただき、感謝しています。先日は、息子に事業承継するときのアドバイスを受けるために税理士さんを紹介してもらいました。

――今後の抱負をお聞かせください。

工藤 高機能素材の粉砕に力を入れ、ゆくゆくは海外展開を考えています。円高になってから輸出はやめていましたが、そろそろ再開しどきだと判断しました。世界中に、弊社の粉砕機を広げていきたいですね。

(取材・文/杉山直隆、「しんきん経営情報」2021年3月号掲載、協力 東濃信用金庫