記者会見する衆院議員の秋元司被告(撮影:2020年2月14日)記者会見する衆院議員の秋元司被告(撮影:2020年2月14日) Photo:JIJI

カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で、収賄罪などで起訴された衆院議員秋元司被告(49)の初公判が29日、東京地裁で開かれる。事件の発覚後、秋元被告は贈賄側に裁判で虚偽の証言をする見返りに、現金の供与を持ち掛けたとして証人等買収罪で逮捕・起訴される事態に発展。同罪はマフィアなど国際犯罪組織の摘発を目的とし、テロ等準備罪と併せて導入されたが「適用第1号」が国会議員ということは、永田町や法曹界に衝撃を与えた。秋元被告は汚職・証人買収事件とも全面的に否認する構えだが、いずれの関係者も既に判決が確定している。収賄罪だけなら執行猶予だったとみられるが、保釈後の証人買収が判決で事実認定されるようなら心証はあまりに悪い。現職国会議員の実刑が噂されるだけに、弁護側の戦術が注目される。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

保釈も証人買収で再逮捕

 事件の発覚から時間が経過しているので、簡単におさらいしておきたい。

 東京地検特捜部が秋元被告を収賄容疑で逮捕、議員事務所などを強制捜査したのは2019年12月25日。20年1月14日には別の収賄容疑で再逮捕した。

 起訴状によると、秋元被告はIR事業に便宜を図ってほしいとの趣旨と知りながら、中国企業の元顧問2人から17年9月、自身が管理する会社の口座に200万円の振り込みを受けたほか、議員会館の事務所応接室で現金300万円を受け取ったとされる。