事実、今回の事件では偽証の依頼を受けた贈賄側が現金の供与を拒否しており、偽証教唆罪などには「未遂罪」がないため、証人等買収罪がなければ摘発できなかったとされる。

 では、汚職・証人買収に関わったとされた関係者の裁判はどうなったのだろうか。

 20年8月26日、贈賄側の初公判が開かれ、いずれも起訴内容を認めた。その上で元顧問2人は供述調書で、証人等買収に絡み「現金を持ってきたため、ただ事ではないと検察に話した」「『弁護士費用を持つ』とか『一生面倒見る』と言われた。袋に500万円くらい入っていた」などと偽証依頼の働き掛けがあったことを明らかにしていた。

 10月12日、東京地裁は現金の授受を事実認定し、元顧問2人にそれぞれ執行猶予の付いた有罪判決を言い渡した。執行猶予の理由については、秋元被告側から依頼された偽証を拒否したことや反省している点を挙げた。

 証人等買収罪を巡っては2つのルートについて分離公判で行われ、11月の初公判で被告4人はいずれも起訴内容を認めて即日結審。12月の判決では、裁判長が「悪質な司法妨害行為」と厳しく指弾したものの、深く反省しており、秋元被告に強く懇願されて加担し関与も従属的――などとしていずれも執行猶予とした。

 司法的には関係者全員の裁判が終了し、いずれも有罪が確定。判決では、秋元被告がこれから問われる起訴内容についてほぼ事実認定された。

無罪請負人の辣腕弁護士

 汚職事件の公判では、検察側が関係者の供述をもとに、現金のやりとりを生々しく説明した。衆院が解散された17年9月28日、元顧問2人が議員会館で合流。A4の封筒に300万円を入れ、和菓子と一緒に紙袋に入れて渡すと、秋元被告は「ありがとう」と謝意を伝えたという。

 北海道旅行には家族も招き、ゲレンデに面した眺望の良い部屋を提供。秋元被告は「IRを(北海道)留寿都村に持ってくるため頑張る」と述べたとされる。

 証人等買収事件の公判でも、秋元被告の依頼を受けた支援者が、元顧問から現金供与を拒否されたと報告すると「絶対に金で転ぶ」「5000万円程度でいいはず」「金をぶつけてほしい」と交渉を継続するよう要求された――などと具体的なやり取りを明らかにした。

 いずれの供述調書も証拠採用され、事実認定されている。全国紙社会部デスクによると、偽証の報酬として提示した現金からは、秋元被告の指紋も検出されたという。