国内利用者が8600万人を超える国民的サービス「LINE」が揺れている。LINEの中国拠点で日本のユーザー情報の一部が閲覧できた問題が発覚し、企業としての信頼は失墜した。今後は3月1日に統合した新生Zホールディングの下で、ヤフー主導の立て直しが図られる。「対等の精神」で発足した新生ZHDの今後の運営でも、ヤフーがLINEをリードする場面は増えそうだ。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

LINE個人情報問題発覚のきっかけは
ヤフーが1月につかんだ外部情報

LINEの会見写真:つのだよしお/アフロ

「LINEの中国拠点で、日本のユーザーの個人情報が閲覧できるらしい」――。

 1月下旬、ヤフーを運営するZホールディングス(HD)に、外部からこんな情報が届いた。これがLINEの個人情報問題が発覚する最初のきっかけだった。

 ヤフーは以前から個人情報の取り扱いに神経を使ってきた。事態を重く見たヤフーがLINE側に事実確認を要請したところ、3月に入り「間違いない」との回答が届き、問題を把握したという。

 ヤフーを運営するZHDと、LINEとの統合が完了したのは3月1日だ。その直後に発覚したLINEの情報管理の不備を巡り、統合した2社の対照的な姿勢も浮き彫りになった。個人情報の取り扱いに過剰なまでに過敏なヤフーに対し、LINEの反応の鈍さが目立つ。

 今後、LINEの信頼回復に向けた対策でもヤフーが主導する場面が増えそうで、今回の個人情報問題をきっかけに、ZHDとLINEの力のバランスに変化が生じつつある。