写真:LINE,アプリ
LINEの個人情報管理問題は、実際のところ、日本の企業やLINEユーザーにどのような不利益をもたらすのか(写真はイメージです) Photo:123RF

何がいけなかったのか?
LINE個人情報問題の真の論点

 世の中には時間がたつにつれ、「いったい何が問題だったのか?」ということがわかりにくくなることがあります。LINEの個人情報管理に関する問題もその1つで、公表されてから1週間がたちました。大きく2つの点が問題とされました。

 1つは、2018年8月から2021年2月まで、業務委託先の中国企業の4人の技術者に、国内サーバにある個人情報へのアクセス権限が与えられていたことです。LINEによれば、業務に必要な範囲でアクセス権限をつけて管理していたもので、当該期間で計32回のアクセスがあったそうです。現時点で、すでにこの権限は停止されています。

 もう1つは、韓国のサーバに会員が投稿した画像・動画などのデータを保管していたことです。この件についてもLINEは、国内サーバにデータを完全移管すると表明しました。

 ちなみにこれらの問題の発覚後、政府や自治体などはLINEの利用を停止しています。一方で、企業の公式アカウントや個人ユーザーがLINE離れをしているようには見えません。LINEの情報管理は、具体的に何がいけなかったのでしょうか。

 1つめの問題の論点は明確です。中国の国家情報法により、民間企業を通じて利用者のデータが当局に渡るリスクがある。だから安全保障上、中国企業のエンジニアに日本人の個人情報を扱う権限を与えてはいけないのだ、というのが問題の本質です。

 LINEはプライバシーポリシーで、データを国外で処理することがあることは明示していましたが、国名の明記はしてきませんでした。法律上問題はなくても、政治上大問題だということで、国会で論議になっているわけです。

 2つ目の問題は、あまり論理的ではなくデリケートな心理問題のようです。私たちは画像や動画などの個人データを、クラウドを通じて保存することに慣れています。クラウドの先にあるサーバがどこの国にあるのか、日頃それほど心配して生活しているわけではありません。

 クラウドの名前がiCloudやGoogleドライブだったら、なんとなくではありますが、自分のデータはアメリカに行っているような気がします。LINEはもともと韓国の会社(今は日本企業が買収)だったので、サーバが韓国にあるというのは、消費者心理としてはべつに不思議でも何でもないと私は思いました。