Zホールディングス川邉健太郎・出澤剛共同CEO
ヤフーの川邊健太郎社長(左)とLINEの出澤剛社長のダブルトップを直撃した Photo by Masato Kato

ソフトバンク傘下でヤフーを運営するZホールディングス(HD)と、LINEの経営統合が3月1日に完了し、国内総利用者が延べ3億人超にのぼる国民的インターネットサービスが始動した。ダイヤモンド編集部は、新生ZHDの共同最高経営責任者(共同CEO)に就任したヤフーの川邊健太郎社長とLINEの出澤剛社長のダブルトップを直撃。ソフトバンクグループ創業者の孫正義氏と、韓国ネイバー創業者の李海珍氏が新会社の経営陣に託したミッションを明かしてもらった。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

圧倒的ユーザー数も
盤石ではない国内市場

 新生Zホールディングス(HD)の強みは、ヤフーとLINEが展開する幅広いサービス群だ。

 中核となるのが、情報サイトの「ヤフージャパン(月間利用者数6700万人)」、コミュニケーションアプリの「LINE(同8600万人)」、スマートフォン決済の「ペイペイ(累計登録者数3600万人)」という、生活に密着し巨大な顧客基盤を抱えた三つの“お化けサービス”である。

 両社を合わせた国内サービスは200を超す。「それぞれのサービスの連携を相互に深めて、独自の経済圏を構築する」(川邊健太郎共同CEO)ことが、新会社の基本戦略となる。

 3月1日の新会社発足の戦略説明会では、今後5年間で5000億円規模の戦略投資と5000人規模のAI(人工知能)人材を登用する計画が明かされた。とりわけ強化するのは、(1)eコマース(電子商取引)、(2)飲食店・旅行予約、(3)フィンテック、(4)行政、防災――の4分野だ。

 2024年3月期の売上高の目標は2兆円で、営業利益は2250億円を目指す。20年3月期の単純合算の売上高は1兆2840億円で、統合前のZHDの21年3月期の営業利益予想は1600億円だったため、いずれもチャレンジングな数値だ。

 ユーザーが注目するサービスの統廃合の行方も示された。22年4月めどに「LINEペイ」の国内QR決済事業をペイペイに統合する。一方で、「ヤフーニュース」と「LINEニュース」は統合せずに共存する方針だ。

 新会社は、米国のGAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト)と、中国のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)の米中IT(情報技術)勢力が、コロナ禍で一段と強大化する中で誕生した。

 しかし、3月1日の戦略説明会で、川邊・出澤両トップが力点を置いたのは、国内市場の防衛だ。

 国内で圧倒的な存在でも、海外で米中のIT巨人と正面衝突するのは現実的ではない。当面の海外戦略は、LINEが強みを持つ台湾、タイ、インドネシアを起点に、東南アジアでサービスを地道に拡大する方針だ。

 もっとも国内でユーザー数が圧倒的でも、ビジネスが盤石というわけではない。ZHDが悲願とするのは「国内eコマースナンバーワン」の座だ。しかし、コロナ禍でライバルのアマゾンや楽天がさらに力を付けており、ZHDはいまだに苦戦中とみられている。ヤフー・LINE統合でどう巻き返すかが焦点となる。

 ダイヤモンド編集部は統合を完了した両トップを直撃。アマゾンや楽天への対抗策やソフトバンク・ビジョン・ファンドとの連携、さらにはソフトバンクグループの孫正義会長が新経営陣に託したミッションなど、統合の舞台裏を語ってもらった。