質の高い利益とは、現金の裏付けがある利益
カノン このアクルーアルが利益の質を判断するのに役に立つのですか?
林教授 その通り。質の高い利益とは、現金の裏付けがある利益という意味だからね。アクルーアルを計算すれば、損益計算書の利益が現金の裏付けがあるものかどうかがわかる。
カノン 先生からは「利益は鵜呑みにしてはいけない」って教えられましたから、損益計算書は重要ではないと思っていました。
林教授 ところが、アクルーアルによって、損益計算書の信頼度が大きく変わるんだ。
カノン そうなんですか。アクルーアルってどういう意味でしょうか?
林教授 日本語では会計発生高と訳されている。具体的には損益計算書の特別損益を除いた税引き後当期純利益から営業キャッシュフローを引いて計算する。アクルーアルがマイナスとなる企業は、現金の裏付けのある質の高い利益を生成していると考えることができる。
カノン なぜ、特別損益を除くのでしょうか。
林教授 経常利益が大赤字の会社が土地を売って黒字になったとしても、その利益は一時的にすぎないからね。異常な損益は省いて計算するんだ。
カノン なるほどね。