札幌地裁において生活保護訴訟が棄却されたのは、なぜなのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「肉球の日」に裏切られた
縁起よい判決への期待

 2020年3月29日、札幌地裁において、2013年から実施された生活保護基準引き下げの取り消しなどを求める訴訟の判決が言い渡された。結果は「棄却」であった。

 この訴訟は、約1000人の原告による30の原告団により、全国の29地裁で継続されている。原告団の数が地裁の数よりも1つ多いのは、東京には2つの原告団があるからだ。昨年6月の名古屋地裁判決は「自民党が引き下げたかったのだから、自民党所属の厚労大臣が裁量権によって引き下げたのは仕方ないでしょう」と言わんばかりの内容であった。

 今年2月22日の大阪地裁判決は、厚労省が引き下げの理由とした物価下落に根拠がないことを認め、「厚労大臣には確かに生活保護基準を決定する裁量権があるのだけれど、デタラメな根拠による引き下げはダメ」と明確な判断を行い、原告の勝訴とした。

 厚労省が引き下げの理由として用いた物価下落は、厚労省が独自に作成した物価指数「生活扶助相当CPI」によって導き出されたのだが、フリーライター・白井康彦氏(2013年当時は中日新聞社)の嗅覚と執念と巻き込み力によって、「物価偽装」としか言いようのない実態が、2014年末には明らかになっていた。

 2月22日の大阪地裁判決は、「大臣裁量だからといって、大臣は何をしても許されるわけではない」という当然のことを根拠とともに明確にした、画期的な判決であった。愛猫家である筆者は、「猫の日」とされる2月22日にふさわしい判決に感じられた。

 毎月29日は、愛猫家たちにとっては「肉球の日」である。3月29日、筆者は「肉球の日」にふさわしい判決を期待した。しかし棄却となり、原告である生活保護の当事者たちの切実な願いは叶えられなかった。

 この判決を下した武部知子裁判長は、3月17日に同じ札幌地裁で、同性婚訴訟に対して「同性婚を認めないのは違憲」という画期的な判決を下した。憲法24条にある「婚姻は,両性の合意のみに基いて成立」という文言を文字通りに解釈すれば、同性婚を認めないことは憲法違反にはならない。