さらに同性婚を制度として認めると、ポジティブな経済効果もある。同性婚カップルの就労などの社会活動が容易になり、貧困状態となる可能性が減る。同性婚カップルを対象としたビジネスも、法の裏付けのもとで生まれ、発展していくだろう。結婚に対するイメージが「なんだか、ちょっと良さそう」というものに変わっていけば、異性カップルも結婚に踏み切りやすくなるだろう。社会や経済に対する悪影響は、簡単には思い浮かべられそうにない。唯一の問題は、「同性カップルなんて気持ち悪い」「同性婚なんて許せない」という感覚をどうしても捨てられない人々の居心地の悪さであるが、それも時間が解決するだろう。

 往年のテレビドラマ『家なき子』の決めゼリフ「同情するならカネをくれ!」になぞらえるなら、同性婚への理解や同情にはカネは必要ない。むしろ、理解や同情がカネを生む。多くの場合、差別の解消や多様性の増加は、回り回って社会を経済的に豊かにする。

 もっとも、メリットが何もなくても、差別は解消されなくてはならない。そのためには、多様性も増加させる必要がある。

注目されなかった
個別具体的な生活実態

 生活保護基準の引き下げは、「生活保護」という立場による経済的差別と見ることができる。生活保護基準は、厚労大臣の裁量によって、実質的には厚労省社会・援護局保護課によって決定される。厚労大臣が引き下げを告示すれば、生活保護で暮らす当事者たちの月々の生活費は減少する。

 もしも一家の稼ぎ手が、配偶者に渡す生活費を勝手に減らしたら、内容と程度によっては経済的DVである。2013年の引き下げは、全国平均で6.5%という大幅な引き下げであった。影響は、生活保護で暮らす当事者たちの日常に現れるはずである。

 原告団は裁判において、2013年の引き下げにおいてどのように非合理な判断が行われたかとともに、当事者たちの生活がどのように劣悪になったのかを訴えた。