週刊誌の記者は、テレビドラマのイメージほどではないものの、日常的に危険な目に遭っている(写真はイメージです)
週刊誌の記者は、テレビドラマのイメージほどではないものの、日常的に危険な目に遭っている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

文芸春秋に入社して2018年に退社するまで40年間。『週刊文春』『文芸春秋』編集長を務め、週刊誌報道の一線に身を置いてきた筆者が語る「あの事件の舞台裏」。記者は危険な目に遭うと勘違いされていますが、怖い思いをしたことは何度もあります。ただ怖いのは、人ばかりではありません……。(元週刊文春編集長、岐阜女子大学副学長 木俣正剛)

殺されたりすることはないが
取材で危険な目に遭うことも

「取材で怖い目に遭ったことがありますか?」という質問をよくされます。確かに、テレビドラマに出てくる週刊誌記者は大抵途中で脅迫されたり、最終的に殺されたりします。これはまったくテレビのつくったイメージです。

 大昔、総会屋が雑誌を持っていたころは、そんなことがあったかもしれません。今は、脅迫してオカネをとろうなどという不心得者はいない世界です。実際40年間、週刊誌に関わる世界にいましたが、殺された記者など聞いたことがありません。

 ただ、記者クラブに座って発表記事をもらっているだけでは、週刊誌の記事は書けません。記事の多くは、相手が書いてほしくないことを取材するわけですから、それなりに恐ろしい目に遭うこともあります。

 連載では、ソウルの山中を連れまわされ、ピストルを見せられたというような話も書きました。ヤクザさんが、日本刀を眼前で抜いて見せたこともあります。

 ただ、記者を殺したり、傷つけたりしても、オカネになるわけでもなく、記事が止められるわけでもないので、相手が人間である限り単なる脅しだろう、と意外に冷静でいられます。

 むしろ、武器よりも動物の方が恐ろしいものです。