中韓外相会談において、両外相は朝鮮半島問題の政治的解決を目指し、北朝鮮との対話推進に向け協力することを確認した。鄭外相は「韓中両国は朝鮮半島の完全な非核化という共通の目標がある」と述べ、中国の積極的役割に期待を示した。

 しかし、北朝鮮が核・ミサイル開発を進めていられるのは、中国が内々、石油の瀬取りや石炭の輸入など国連制裁違反を犯しながら北朝鮮を助けているからである。もともと中韓の間では「朝鮮半島の平和プロセス」を進めること、北朝鮮との対立は避けることで共通の認識がある。今さら改めて「北朝鮮との対話促進に向け協力することを確認」したとしてもそれは非核化に向けて事態の進展とはならない。

 鄭外相は何を意図して王毅外相と会ったのだろうか。中国外相に招待されることが韓国の国内政治にとって重要というだけの理由なのではないか。

北朝鮮の核・ミサイル開発抑止は
まず制裁強化から始めるべき

 一方、中韓外相会談の前日にはメリーランド州の米海軍兵学校で日米韓3カ国の高官が協議を行った。米国はサリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)、日本は北村国家安全保障局長、韓国は徐薫(ソ・フン)大統領府国家安保室長が出席した。

 会談後に発表された共同声明によると、会談ではバイデン政権が見直し作業中の北朝鮮政策の最終調整を行ったようである。ただ、詳細や発表時期は明らかになっていない。

 3月18日に行われた米韓外務・防衛担当閣僚協議(2+2)でも共同声明に「北朝鮮の非核化」という最も重要な文言を入れることに文在寅大統領が反対したという。今回の共同声明でも何ら具体的なことが記されていないことを見ると、韓国側の抵抗は強かったのであろう。それを受けて米国がどのような判断をするか心配である。

 バイデン大統領は3月25日、北朝鮮について「何らかの形で外交の用意がある」と指摘しており、北朝鮮との対話を排除していない。他方、北朝鮮の弾道ミサイル発射を「国連安保理決議に違反している」と断じ、挑発行為のエスカレートには「相応に対処する」とけん制している。

 バイデン大統領は、トランプ大統領式の首脳会談は行わないとホワイトハウス報道官も述べている。また、「対北朝鮮政策の中心は非核化だ」と述べている。

 それでもワシントンの主要シンクタンクには、北朝鮮への制裁緩和で核の凍結または部分的な核廃棄だけでも実現させようとする「段階的接近法」で進むべきとの声も多く聞かれるようである。

 それは、北朝鮮が後戻りしないほど核・ミサイル開発が進んでいること、中国が協力する可能性が低いこと、文在寅政権の北朝鮮寄りの姿勢が作用しているということである。その意味でも、日米韓高官協議に並行して韓国が外相会談を行っていることは気がかりである。

 ロバート・アインホーン元国務省特別補佐官によれば、「段階的接近を明らかにしながらも、『長期的に完全な非核化を追求する』という但し書きをつける公算が大きい」という。

 しかし、それでは北朝鮮の核・ミサイル開発を抑え込むことはできず、日本にとっては北朝鮮の核といかに向き合うかという宿題を投げかけられることになりかねない。北朝鮮に対しては、まず弾道ミサイル発射を受けて制裁を強化するところから始めてもらいたいものである。