一方、テストステロン値が高いと男らしさが強く、攻撃的であると思われがち。しかし男らしさより社会的ホルモンと言われており、テストステロンが高い方が人との交渉能力や決断力が高いという研究データも存在します。

 アメリカでのある実験ですが、女性に74名の男性の写真を見せて好みの男性を選別してもらいました。その結果を見ると、選ばれた男性は免疫力が高く、テストステロン値が高い人ばかりだったというのです。

 生き生きとした姿を見せ、覚悟を持って的確な意思決定ができる。同性、異性を問わずにこんな人物であれば、間違いなく「モテる人材」であり続けるでしょう。テストステロンの働きを維持し続けることは、あなたがプライベートやビジネスシーン問わずに求められるキーパーソンであるために、とても重要な要素なのです。

大事な試合前日にセックスをするのは良くないのか

 余談になりますが、いままでに何度も若手選手から「試合前日にセックスするのは良くないんですか?」という素朴な質問をされたことがあります。そんなとき、中堅選手は嬉しそうに騒ぎ立て、外国人選手の中には、

「逆だろ!テストステロンが活性化されるんだから、むしろ『した』方がいいんだ!」

 と熱く語る選手まで現れる始末。実際のところ、この問題はどう考えるといいのでしょう?

 スポーツイベント前のセックスに関するあらゆる研究をまとめた最近の論文では、試合の前日にセックスしても、害になりそうにないと結論づけられました。

 さまざまな論文を踏まえて、私が極めて真面目に答えるのが、「性的興奮はOK、でも男性は射精しないほうがいい」という内容。前述の選手が考えたように、男性ホルモンの代表選手であるテストステロンは性的興奮で高まります。試合前のセックスはテストステロンを多く分泌するという面で、パフォーマンスに非常にいい影響を与えてくれる可能性もあるのです。

 しかし男性はひとたび射精をすると、プロラクチンとオキシトシンというホルモンが出ます。オキシトシンは人間関係を高め、信頼関係を深めるホルモンなのですが、問題はプロラクチンの分泌。プロラクチンは下垂体前葉ホルモンのひとつで、コルチゾールの活動を高めてしまう働きがあるのです。