株式投資にのめり込むきっかけ
最初の投資先にキッコーマンを選んだのは、同じ食品メーカーである勤務先の業績がだんだん良くなっていたという背景があった。
食品メーカーには、外食に強いところと内食に強いところがある。
内食とは、消費者が自宅で食べるもの。
内食に強い自分の勤務先の業績が上向いているということは、「これはバブルがそろそろ終わるサインで、これから景気が悪くなるかもしれないぞ」という直感が働いた。
食品メーカーのような生活必需品を扱う内需関連銘柄は、景気が後退する局面でも値下がりしにくいので「ディフェンシブ銘柄」(防御的な銘柄)と呼ばれる。
勤務先は非上場企業だが、同じ食品メーカーのキッコーマンが値上がりするだろうと狙いをつけて1点集中の買いに走ったわけだ。
投資を始めるにあたり『会社四季報』くらいは買ったものの、投資する前にキッコーマンのデータを詳しく調べたわけではなかった。
たとえ調べたとしても、そのデータの意味するところまでは理解できなかったと思う。
恥ずかしい話だが、投資家にとっては基礎の基礎であるPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)といった株価指標や、PL(損益計算書)やBS(貸借対照表)といった財務諸表のことをまったく理解していなかった。
戦略らしい戦略があったわけでなく、他に何を買えばいいかがわからなかったので、誰でも知っている有名な大手食品メーカーとしてキッコーマンを買ったというのが実情。いまから考えると怖いもの知らずの投資だった。
それでもビギナーズラックでキッコーマンの株価は上がり、利益が15万円ほど出たところで売却。
この成功体験が、株式投資にのめり込むきっかけとなった。