『会社四季報』の株主欄に名を連ねたい

その頃は自分のようなド素人はもちろん、多くの個人投資家が損失を出していた。

バブル崩壊の荒波が、いよいよ株式市場に打ち寄せていたのだ。

15時に相場が終わる寸前になると、まずは先物に売り注文が次から次に入る。

それにつられるように現物にも売り注文が殺到し、最安値を更新して株価が下がり続ける。

そんなことのくり返しで、投資家の大半は損をしていた。

損をしても株式投資を諦めなかったのは、ある夢を抱いていたからだった。

『会社四季報』を読んでいるうちに、持株数順に大株主が並ぶ「株主」欄に、信託銀行や生命保険会社といった名の知れた機関投資家に交じって、個人名が載っていることを知り、大きな衝撃を受けた。

「機関投資家と互角に渡り合えるなんて凄いな」と憧れの気持ちが湧いたと同時に、人生で一度くらいは『会社四季報』の株主欄に名を連ねてみたいと、大それた野望を抱くようになったのだ。

大株主になると同時に、オーナーの1人として投資先の会社に言いたいことが言えるようになりたい。

給料が手取り20万円に届かなかった自分にとっては無謀とも言える野望を心に抱きながら、バブル崩壊後も株式投資を続けた。