「心理的安全性」の罠

 最近、こうした状態に対して、何でも遠慮なく言い合える関係をつくる「心理的安全性」の重要性が叫ばれています。

 しかし、心理的安全性は結果的に高まるものであって、心理的安全性を高めることに注力するのは慢性疾患悪化への入口と言えないでしょうか。

 盲点は、互いに何でも言い合えるようにすることにフォーカスしすぎて、どんな理由があって言いたいことを言い合えなくなっているかがほとんど考えられていないことです。

 そのひも解きは一筋縄ではいきません。

 そのときに大切なのが、様々な小さな問題の勃発です。

 慢性疾患に関連した小さな問題は発生しますが、そのときに、自分がその問題にどう関わっているのかが見えているかどうかが大きな分かれ道です。そこが見えていないと、相手のせいか、自分のせいかという問題にすり替わってしまいます。問題は複合的に起きているのであって、誰か一人のせいではないのです。

 結果だけを見て、背後のメカニズムを見ようとしないアプローチでは心理的安全性は高められません。

 表面的なコミュニケーションの取り方では、すぐに元の悪い状態へと戻ってしまいます。

 大事なことは、問題にしっかりと向き合うことです。

 問題に向き合うとは、自分が問題の一部と自覚すること、自分と問題の関わりを見つけることです。自分にできることが何かを見出せることと言い換えられます。

 そうした問題に向き合う方法が対話なのです。

 そして、対話を通じて「心理的安全性を高めよう」という表面的な問題解決に縛られず、より広く、深い視座での問題へのアプローチが大切になります。

 対話とは一体どんなものか、本書ではじっくり解説しました。ぜひご覧いただけたらと思います。

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