リモートワークが長期化している今、わかりあえない上司と部下の「モヤモヤ」は最高潮に達しているのではなかろうか。さらに、経営層からの数字のプレッシャーが高まる一方で、
「早速夜更かししそうなくらい素晴らしい内容。特に自発的に動かない組織のリーダーについてのくだりは!」
「読み始めていきなり頭をパカーンと殴られた。慢性疾患ってうちの会社のこと? すべて見抜かれている」
「『他者と働く』が慢性疾患の現状認識ツールなら、『組織が変わる』は慢性疾患の寛解ツールだ」
「言語化できないモヤモヤの正体が形になって現れる体験は衝撃でした」
職場に活気がない、会議で発言が出てこない、職場がギスギスしている、仕事のミスが多い、忙しいのに数字が上がらない、病欠が増えている、離職者が多い……これらを「組織の慢性疾患」と呼び、セルフケアの方法を初めて紹介した宇田川氏。我々は放置され続ける「組織の慢性疾患」に、どんな手立てを講じられるのだろうか。著者の宇田川氏を直撃した。
恐ろしい合併症のリスク
組織の慢性疾患はセルフケアを怠り、放置し続けると、合併症になります。
ここで、新規事業が生まれず、業績が傾き、マネジャーがいらだちを覚えているイノベーション推進部門の例を考えてみましょう。
よく「オープンイノベーションだ」と外部のコンサルティング・ファームに新規事業開発を丸投げするケースを目にします。
しかし、こうなると社員は自分の頭で考えなくなるだけでなく、コンサルティング会社も、“共創”と言いながら実際は業者扱いされていることに嫌気がさし、挙句のはてにはそっぽを向かれ、何も残らない。結局、問題が余計悪化していきます。
この原因は、なぜ新規事業が現場の社員から出てこないのかという背後のメカニズムを観察することなく、「新規事業が生まれない」という表層的な問題にとらわれていたからです。
こうなると、古参社員の退職だけに留まらず、残された社員たちがどんどん疲弊していく悪循環もありえます。いわば、慢性疾患が放置されて悪化した“合併症”になるのです。