ビジネスパーソン向けSNSとして世界に1億7500万人以上のユーザーを擁するLinkedInは、欧米では急成長を遂げ、今や就職・転職の際の履歴書代わりや、人脈をたどったビジネス拡大などさかんに活用されている。しかし、キャリア意識の違いからか、日本ではまだなじみが薄いのが現状だ。
そんなビジネスSNS空白地帯の日本で、日本発のビジネスパーソン向けSNSとして、サイバーエージェントがサービスを始めたのが「intely(インテリー)」だ。仕事の現場で培った情報や学びを共有しながら、互いに成長を図る、というのが、サービスのコンセプトになっている。
登録はTwitter、Facebook、Ameba、mixiなど、今使っているアカウントを使って始めることができる。登録すると次に「経営戦略・コンサルティング」「マネジメント・リーダーシップ」「発想法・思考法」など、ビジネスを取り巻く40のテーマが表示される。そこから興味や関心のある分野を選択。気になるユーザーやニュース系アカウントをフォローすれば、タイムラインに情報が流れるようになる。
Facebookは、フォロワー数を増やすのに多少の時間と手間がかかってしまう。その間、有効な情報を取得することができず、放置に至ることも少なくない。その点、intelyは、最初に提示されるビジネスアカウントをフォローするだけで、すぐに情報収集ツールとして使えるように設計されている。単に興味関心に応じた情報を素早く収集するツールであれば、以前紹介したGunosy(グノシー)のようなツールもあるが、intelyの特長はSNSならではの「ネットワーキング」にある。
intelyでは、ビジネスシーンにおける様々なグループが形成されている。例えば、「通信業界」「ネットメディア業界」という業界単位のネットワーキングから、「広報・IR職」「キャリアカウンセラー職」などの職種別グループ。また、「コミュニティデザイン」や「ノマド」といった仕事を取り巻くテーマグループも数多く存在している。グループへの参加は自由。投稿を読みつつ、気になることがあれば質問を投げかけ、議論を深めていくことができる。
また、自分の関心事に即してグループを立ち上げることも可能だ。実際に、ビジネス書を読む読書会グループやコミュニティデザインを考えるグループなどが立ち上がり、情報交換などを行っている。この辺りは、mixiのコミュニティ機能やFacebookのグループに似ているが、intelyの場合、実名制で、なおかつ、ビジネスパーソンに限定されていることで、より的確な現場の声を聞くことができるようだ。
転職や起業を考えている場合、グループで交流を深め、現場からのアドバイスなどをもらうことができるだろう。また、今後視野に入れたい業界のグループに参加して、リサーチをしていく。そんな使い方も有効だ。
リリース間もない現段階では、まだ可能性に不透明な部分はあるが、運営するサイバーエージェントは、今後、大掛かりなプロモーションを展開し、知名度のアップを図りたいとしている。また、著名な経営者や評論家などの参加も検討しているとのこと。年内に100万人のビジネスパーソンの登録を目標にしている。
この種のSNSの場合、ユーザーの増加とともに、コンテンツの質も増強されるだけに、今後の動向には注目したい。
(吉田由紀子/5時から作家塾(R))