大手銀行の融資事業の堅調さは、この四半期決算シーズンの大きなニュースかもしれない。ただ、各行の投資銀部門の業績は十分に評価されていない可能性もある。米金融大手JPモルガン・チェースとウェルズ・ファーゴは投資家が期待していた通り、新型コロナウイルス感染拡大による経済的衝撃の最悪期に備えた貸倒引当金を戻し入れ始めた。懸念されたほどの高水準のデフォルト(債務不履行)は現実化しておらず、ここに来て景気は上向いているように見受けられる。JPモルガンは1-3月期(第1四半期)に52億ドルの引当金を戻し入れた。ウェルズの戻し入れは16億ドルとなった。これらは重要なことではあるが、結局のところ机上の利益であり、事業につぎ込める現金が増えるわけではない。引当金の戻し入れは必ずしも銀行の中核的な自己資本に完全に反映されるわけでもない。規制当局が銀行向けのコロナ救済策として、貸倒準備金が主要資本水準に及ぼす影響の一部を先延ばしさせたからだ。
米大手銀の好決算、投資銀部門は過小評価か
JPモルガンやゴールドマンの投資銀収入が急拡大
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