新型コロナウイルス感染拡大に伴い、急ピッチで進められたワクチン開発。アメリカの製薬会社モデルナはパンデミック下でワクチン開発に取り組んだ企業の一つで、日本政府も供給契約を結んでいる。このモデルナに注目しているのが、ハーバードビジネススクールのマルコ・イアンシティ教授だ。イアンシティ教授はモデルナを「AI時代を先導する企業の模範事例になる」と評価する。その理由とは。(聞き手/作家・コンサルタント 佐藤智恵)
なぜDX研究の第一人者が
製薬会社のモデルナに注目したのか
佐藤 日本政府は新型コロナウイルスのワクチンについて、アメリカのファイザーとモデルナ、イギリスのアストラゼネカの3社との間で、供給を受けるための契約を交わしています。ファイザーのワクチンはすでに承認され、アストラゼネカとモデルナのワクチンは5月以降にも承認されるとみられています。
イアンシティ教授は昨年9月、モデルナの新型コロナウイルスのワクチン開発過程を描いた『モデルナ(A)』という教材をパンデミック下で緊急出版されました。なぜ数ある製薬会社の中でも特にモデルナに興味を持ったのですか。
イアンシティ 実はパンデミックが起こる前から、「最先端のITビジネスモデルを展開する会社」としてモデルナには興味を持っていました。
モデルナをハーバードの教材にしようと思った理由は、二つあります。