バイデン大統領と菅義偉首相日米両政府は首脳会談の共同声明で「台湾海峡の平和と安定の重要性」を明記。中国の猛反発が必至の台湾問題を盛り込んだ背景には何があったのか Photo:Pool/gettyimages

日米両政府は首脳会談の共同声明で「台湾海峡の平和と安定の重要性」を明記した。中国の猛反発が必至の台湾問題を盛り込んだ背景には何があったのか。(評論家・翻訳家 白川 司)

アメリカのメディアでは
注目されなかった首脳会談

 日本ではかなり注目されてメディアでも大きく日米首脳会談だが、アメリカでの報道は驚くほど少なかった。それはこの会談がアメリカの内政に与える影響がほとんどなかったからだ。

 実際、主要テーマである「自由で開かれたインド太平洋」における日米連携はすでに進んでいる。ほかの課題についても、新型コロナウイルス対策、気候変動対策、サプライチェーンにおける脱中国連携などもすでに進行中であり、ミャンマー制裁についても確認程度で、いずれの課題もすでに合意ができているか方向性が決まっているものばかりである。

 また、尖閣諸島に安保条約第5条を適用することもオバマ政権から繰り返し確認されてきた。さらに、「バイデン大統領が東京オリンピックを支持」という報道がされたが、「実現を支持」ではなく、「努力を支持」という文言にとどまっている。日本側はアメリカからはほとんど果実を引き出せなかったというべきだろう。