本紙は昨年の社説で、ジョン・ケリー米元国務長官を気候変動に関する中国との交渉に送り込めば、身ぐるみをはがされ「樽を着て」帰国することになると指摘した。ケリー氏は先週、中国・上海への訪問を終えたが、果たして樽はどうなったか。気候変動を担当する米バイデン政権のケリー特使は、中国の解振華・事務特使との2日間にわたる会談を終え、共同声明を発表した。そこには新しいことはほとんど書かれていない。両国は「気候危機に取り組むため、互いに、また他国と協力することを約束する」と表明。また、二酸化炭素(CO2)の排出を制限する「パリ協定の施行を強化する」ことに努めるとした。ケリー氏は中国に大きな譲歩はせず、中国もいずれにしろ破ることになる排出制限について新たな約束はしなかった。
【社説】ケリー特使の気候変動巡る中国への迎合
バイデン政権は空約束と引き換えにどれだけのものを差し出すのか
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