もちろん、イコールの場合もあるでしょうが、物理的な場所ではない場合もあるのではないかと思うのです。

 何がどこにあるか、目をつぶっていてもわかる。

 物の一つひとつに暮らしの思い出が残り、家族とすごした安心できるところ。

 それが「家」なのではないでしょうか。

 ですから、人によっては病室が「家」になる場合もあるのです。

 病室が“終の棲家”になるようなときは、ご家族とゆっくりすごせるような環境にしたり、できるだけ安心できるような工夫をしていきます。

 また、本人のお気に入りだったものや、家族やペットの写真を持ってきてもらうのもいいでしょう。

 実は病室に飾る写真には、選び方にちょっとしたコツのようなものがあります。

 家族がそろっている写真を選ぶときは、本人が一緒に写っているものにします。

 よくお孫さんだけが写っているものを持ってくるご家族がいますが、子どもの成長は早いので、本人がその写真を見たときに写っているのがお孫さんだとわからないこともあるのです。

 そういう写真よりも、本人が一緒に写っている写真のほうがいいでしょう。

 そうしたものなら、「隣にいるのは孫だな」とすぐわかるので、励みにも話の種にもなるはずです。

 本人の写真なら、元気な頃のものを飾るようにしましょう。

 そのほうが本人もなつかしく振り返れるでしょうし、それに加えて看護や介護する側にも影響を与えるのです。